企業価値評価(バリュエーション)
企業価値評価とは
文字通り企業価値を客観的に査定することを指します。自己資本の市場価値と負債の市場価値の合計が企業価値となります。財務面と非財務面から多角的・総合的に査定されます。事業承継やM&Aの際に用いられます。
【査定に含まれる資産の例】
・資金、収益力、株価などの財務資産
・ブランド力、知的財産権、ソフトウェアなどの無形資産
・人材や従業員のスキル
・設備、機械、施設などの製造資本
・取引先やステークホルダー(利害関係者)との関係性
【主な評価方法】
①DCF法
企業が将来に渡り生み出す収益やフリーキャッシュフローを予測し、現在価値に割り引いて算定する方法です。
例:事業Aを三年間行い、毎年100万円の利益が出る(合計300万円の利益)と予想される際の現在価値を求めてみます。また、割引率を5%と仮定します。
1年後:100/(1+0.05)=95.24万円
2年後:100/(1+0.05)^2=90.70万円
3年後:100/(1+0.05)^3=86.38万円
95.24+90.70+86.38=272.32万円(現在価値合計) よって、例の場合は損マイナスとなります。
②コストアプローチ
貸借対照表上の純資産を基準に企業価値を算定します。記載の純資産額を株主価値とする簿価純資産法と、建物や土地などを時価に再評価してから算出する時価純資産法があります。データに基づいており、客観性の高さからM&Aでよく使われる手法です。一方で、将来性や無形資産の価値、成長性などが反映されないというデメリットがあります。
③マーケットアプローチ
マーケット市場のデータから企業価値を算定します。株式市価法や株価倍率法がありますが、非上場の中小企業などは株価倍率法で算定します。類似する業種の上場企業の株価や売上を参考に算定します。
例:自社Aが当期純利益4億円のときの株価収益率と株価時価総額を求めてみます。
また、この時類似上場企業Bの株価収益率が20倍、類似上場企業Cの株価収益率が25倍とします。
平均値が自社の数値と仮定しますので、
(20+25)÷2=22.5 よってA社の株価収益率は22.5倍と類推されます。
また、時価総額は 4億円×25倍=100億円と類推されます。
