地価公示の変動から読み取れる社会動向・不動産活用への影響【不動産コラム】

3月26日 国土交通省より令和6年の地価公示が発表されました。
全国26,000地点を対象に令和6年1月1日時点の価格を調査したものです。

そもそも地価公示とは、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示するもので、社会・経済活動についての制度インフラとなっております。
土地鑑定委員会が、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、当該標準地の1平方メートル当たりの正常な価格を判定しています。
住宅地・商業地・工業地の3つの枠組みで価格の動向を見ていきます。

地価公示の役割は
・一般の土地の取引に対して指標を与えること
・不動産鑑定の規準となること
・公共事業用地の取得価格算定の規準となること
・土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
・国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること
等が挙げられます。

不動産の売却や投資などを考える際の知識として、毎年の地価公示の動向を知っておくことは大変重要だと考えております。

さて、埼玉県におきましては、今年の地価公示の動向は以下の通りです。
調査地1,301地点 住宅地等:1,032地点 商業地:223地点 工業地:44地点 林地:2地点となり、
・住宅地 → +2.0%
・商業地 → +2.4%
・工業地 → +3.0%
となりました。

住宅地は、県南部の生活利便性の高い地域の住宅需要の伸びが、県北部の需要にも波及し、前年からは0.4%伸びました。

商業地は、東京近接市・さいたま市で商業需要が伸び、再開発事業地・マンション用地との競合地などで上昇。
前年からは0.8%伸びました。

工業地は、これまで同様のネット通販需要により、前年からは0.1%伸びました。
埼玉県以外について
地方圏では、住宅地の上昇率が昨年と同様でした。

新型コロナウイルス感染症5類以降の影響が顕著に表れ、社会全体の出勤を主とする方針への移行・テレワークの減少に伴い、都市部への利便性の高い地域に需要が戻ってきた結果が顕著に表れています。

このように、地価公示から社会・経済動向がよく分かります。
相続対策におきましても、不動産の動向を知っておくことは大変重要です。

遊休地の土地活用等をお考えの方はぜひ、このような社会動向を表す指標があることを知って頂き、まず、いくつか建築会社やコンサルティング会社等へとご相談いただきながら、社会動向を反映したプランを選択頂ければと思います。

 

【参照】

埼玉県HP 令和6年地価公示(埼玉県内分)の結果
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0108/koji-2024.html

国土交通省HP 令和6年地価公示発表
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00042.html

国土交通省HP 地価公示
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html