軽量鉄骨造と鉄筋コンクリート造(RC造)の比較【建築コラム】

前回のコラム「木造と軽量鉄骨造の比較【建築コラム】」に続きまして、本日は、賃貸アパート等でよく使用される構造として、軽量鉄骨造と鉄筋コンクリート造の性能の違い、メリットデメリットを解説してまいります。

軽量鉄骨造とは

軽量鉄骨造とは、建物の主要構造部が軽量鉄骨で出来た構造です。

そもそも、鉄骨はその厚さにより「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」に分類され、軽量鉄骨は、厚さ6mm以下の鉄骨を指します。
一般的に「鉄骨造」と呼ばれるものは、「軽量鉄骨造」で、一般的な住宅等に使用されます。
重量鉄骨造は、大型マンションやビル等の建設に使用されます。

軽量鉄骨造の主な特徴を簡単にまとめると、以下の通りです。
①規格化による品質安定 ②耐用年数の長さ ③耐震性

鉄筋コンクリート造(RC造)とは

鉄筋コンクリート造とは、建物の主要構造部において、鉄筋の骨組みおよび型枠を作り、コンクリートを流し込んで固める構造です。

鉄筋コンクリート造の主な特徴をまとめると、以下の通りです。
①設計の自由度 ②耐用年数 ③防音性能

軽量鉄骨造と鉄筋コンクリート造(RC造)の比較

ここからは、一般的なアパートやマンションに使用される2構造を、性能別に比較してみたいと思います。

耐震性

鉄筋コンクリート造の特徴として「災害に強い」ということがあります。
耐震性に関しましては、「鉄筋」と「コンクリート」それぞれの材料の特性が生かされています。

鉄筋→引っ張られる力に強い
コンクリート→圧縮される力に強い

ということで、自身の揺れにより、構造部分に引っ張られる力・圧縮される力がかかった際、この特性により破損が少なくなります。

軽量鉄骨造については、鉄筋コンクリート造に比べると、耐震性は劣ると言われていますが、鉄骨自体は折れにくいため、耐震性のある構造だといえます。

耐火性

こちらに関しても、鉄筋コンクリート造が有利です。
コンクリートの特性として、火災の温度は1,000度にもなると言われていますが、コンクリートは、その温度でも強度を保つことができるため、そのコンクリートに包まれた鉄筋を守り、構造体が崩れにくくなります。

軽量鉄骨造につきましては、耐火性は、他の構造に劣ると言われています。
構造体である鉄骨の元になる「鋼材」は熱の影響を受けやすいため、倒壊するリスクは高くなっています。ただ、近年は耐火被覆を行っているものもありますので、一概にはいえません。

遮音性

一般的に、遮音性は建材の重量に比例して高くなります。
鉄筋コンクリート造は、軽量鉄骨造やその他構造にくらべて、重量が大きいため、遮音性は高くなります。

軽量鉄骨造につきましては、木造と変わらない遮音性となっており、集合住宅の構造としては、その他遮音材を使用するなどの工夫により、居住環境を良くすることが可能となります。

建築費用

ここまできて、鉄筋コンクリート造の方が、性能が良いのはお分かりになるとは思いますが、その分、建築費用は大きくなります。
政府統計「建築着工統計(2022年)」によりますと、
2022年の構造別建築費(施主:個人)から計算した平均値ですと、鉄筋コンクリート造95.1(万円/坪)、鉄骨造88.4(万円/坪)となっております。(鉄骨造には重量鉄骨造が含まれているため、軽量鉄骨造の場合には、こちらの金額より更にコストが下がると考えられます。)

まとめ

上記のように、鉄筋コンクリート造の方が、性能が高いことが分かります。ただ、賃貸アパートの経営となりますと「建築費用」は注目すべき点であることは間違いありません。住人のターゲット層を考えたうえで、住環境とコストのバランスを見極めて建築することが重要です。

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