不動産を高く、良い条件で売却する方法③

ポイント3 安心出来る担当者に依頼し、情報を囲いこまず幅広く買主を探すこと

大手・中小・コンサルタント、お願いするならどこが良い?

不動産を売却することは人生でそう多くはありません。だから、どこに相談して、どのような手続きがあって、どのくらいで売れるのかを把握をするのは、なかなか難しいというのが大方ではないでしょうか。そのため、一般的にはテレビCMなどで見かける不動産会社に声をかけて相談することが多いようです。確かに、社員教育もしっかりされており、大手のグループに属しているという安心感もあります。

一方、不動産会社は大手だけではなく、駅の近くにオフィスを構えて、地場でしっかりと営業している会社も多くあります。どの会社も誠実な対応をされていますが、相続不動産の場合は注意が必要です。

なぜ注意が必要かというと、相続不動産は難しい不動産が多いのです。先ほどお話した大手もそうですが、地場の不動産会社は、住まいや事務所・店舗については経験豊富であることは間違いありません。この部屋を借りたい、このマンションを買いたい、自宅を売却したい、といった相談を数多くこなしています。翻(ひるがえ)って相続にかかる不動産はどのようなものでしょうか? 当然、いわゆる普通の一戸建てやマンションもありますが、相続不動産は、相続税のかかる富裕層の方々が所有している不動産が多いため、左記にあるような特徴を持つものが多いのです。

 

  • 土地がかなり大きい
  • 不整形である
  • 権利関係が複雑
  • 一棟の建物に住宅・事務所・店舗が入り混じっている
  • 生産緑地や農地である
  • 底地や借地である
  • 一つの敷地に複数の建物がある
  • 違法建築であったり、遵法性に問題がある
  • 接道に問題がある
  • 賃借人とのトラブルが多い

 

このような難しい不動産を取り扱うには、知識と経験がモノをいいます。

複数の難しい問題を論理的・感情的に整理できるかどうかで売却金額、売却条件は大きく違ってきます。そうなると、不動産に精通したコンサルタントはどうでしょうか?個人的には、大手、中小、コンサルタント会社の規模は関係なく、それぞれの担当者が知識と経験が豊富かどうか――この違いによって、売却金額や契約条件に差が出て、結果としてお客様の満足度も変わってくると考えています。また、不動産会社を決めるポイントとしてですが、担当者が、不動産に強い税理士(それぞれの士業が不動産に強いがポイントです)、弁護士、不動産鑑定士、司法書士といった専門家とのネットワークを持っているかが挙げられます。担当者ひとりの知識と経験には限度がありますが、不動産に強い専門家ネットワークがあれば知識を補充できることから士業ネットワーク力は強みとなります。尚、最近では、パソコンを活用して高度な資産分析を行う会社も増えてきました。不動産の売却においても定量分析を行うことは大切であり、大手、中小に限らずこのようなプロセスがなく会話や簡易なメールだけで事が進む場合は気をつけたほうが良いでしょう。

それでは、次のケースでは、知識と経験が豊富なコミュニケーション能力の高いコンサルタントに依頼して成功したケースをみてみましょう。

〔事例〕知識と経験豊富な担当者と出会えて、相続した不動産を最高額で売却できたBさん

3か月前に亡くなった父親の相続手続きを、長男として責任をもって対応しているBさんには、下に2人の弟がいます。昔から仲良く、お互い結婚しても年に数回は家族で会い、良い関係性を保っていました。

今回亡くなられたBさんのお父さんですが、自宅と隣地に駐車場を所有していました。自宅は住んでいる母親に相続してもらうことになったのですが、駐車場は月極駐車場として長らく運用していたものの、最近は空きも多く、家族会議の結果、このタイミングで売却することに決めたのでした。

さて、売却を決めたものの、不動産の売却を経験したことがないBさん。どのように売却すれば良いかわからず、インターネットでいろいろと調べてみました。

その後、まずは大手不動産会社の店舗を訪問。自宅近くにある、昔から不動産業を営んでいる不動産会社にも声をかけました。インターネット査定も活用してみました。いろいろと積極的に相談したり調べたりしてみたものの、売れる金額はそれぞれバラバラで、ベストな売り方もよくわかりません。途方にくれていたなか、依頼していた相続専門の税理士の紹介で私たちと面談することになりました。

まず私たちは、査定報告書を作成し、対象不動産の概要、周辺環境、不動産事例調査、周辺の公的不動産価格の調査を行ない、Bさんに対象不動産の概要を知っていただきました。そのうえで、物件の特性に合わせて入札形式の売却活動を提案させていただきました。

入札とは、条件と期日を定め、購入希望者に買い付け希望条件を入れてもらい、そのなかから一番条件が良いものを、売主様に選んでいただく売却手法をいいます。入札であれば、情報は多く市場に知ってもらったほうが良いため、あらゆる情報を駆使して幅広く売却情報を流布しました。

30社以上に検討していただくこととなり、その結果、7社から購入希望が入り、Bさんは透明性があるなかで、とても良い条件を提示してくださった買主様と契約がすることができました。これにはご家族も大いに喜び、残ったお金で家族旅行に行かれたのでした。