建物の修繕・模様替【建築コラム】
建物は新築された後、ずっとそのまま使用し続けられるものではありません。長く安全に使用していくためには、修繕が必要となります。また、地域や居住者のライフステージの変化に合わせて、変更すべき箇所が出てくることもあります。そんな時、どのようなことに気を付けていく必要があるのかを解説いたします。
修繕と模様替え
まず、「修繕」・「模様替え」の言葉の意味を書いておきます。(大辞林より)
修繕→悪くなったり破損した箇所を直すこと。
模様替え→物事の様子・方法などを変えること。
建物におきましては、このような状態に解釈します。
修繕→破損または老朽化した箇所を、同程度の材料・仕様で、元通りにする。
模様替え→破損または老朽化した箇所を、違う材料または仕様に変更する(主に、より良い状態にする)にする。
そして、建築基準法においては、
「大規模の修繕」と「大規模の模様替」について、以下のように定義づけられています。
建築基準法 第二条第1項
十四 大規模の修繕
建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。
十五 大規模の模様替
建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。
五 主要構造部
壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
確認申請
大規模の修繕・模様替えを行う際、建築基準法では、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない建物が定められています。
建築基準法 第六条第1項
マンションの大規模修繕
マンションにお住いの方であれば、ここまでコラムを読まれると、ご自身のマンションの大規模修繕を連想されることが多いと思います。では、マンションの大規模修繕とはどのようなものなのでしょうか。
周期
建築基準法第12条の改正により、平成20年4月1日以降、竣工後、外壁改修後若しくは落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的なテストハンマーによる打診等を実施した後10年を超え、かつ3年以内に落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分を全面的にテストハンマーによる打診等により確認することとなりました。
そのため、こちらの打診検査に合わせて足場を建てることから、この全面打診のタイミングで大規模修繕が行われることが多くなっています。
内容
大規模修繕で主に行われるのは、下地補修工事、タイル補修工事、シーリング工事、塗装工事、防水工事などの主に外壁部分の工事が中心となります。もちろん、その他にも必要箇所に応じた、修繕工事が行われます。
そのために、事前に「現状調査」が行われ、調査に合わせた修繕計画がマンションごとに作成されます。前述した確認申請の有無は、この調査によって修繕が必要とされた箇所により変わってきます。
リノベーション
ここまでは、修繕に関する事項を説明してまいりましたが、ここからは「模様替」にあたるものを説明いたします。模様替をする際によくあるのが、建物の用途も変更して利用する「リノベーション」です。
リノベーションにより、用途が変わるには、まず、一番最初に「用途地域」が適法であるかを確認する必要があります。都市計画に合わせて、その土地の用途地域を調べ、その用途で利用するのに問題ないかを確認します。
そして、その用途ごとに、建物の耐荷重など、構造的に問題が無いかも確認する必要があります。
その中で、構造耐力調査を行うことも重要です。例えば、RC造(鉄筋コンクリート造)においては、実際にコア抜き試験(コンクリートの一部を抜く検査)を行って、強度を検査することもございます。
また、用途ごとに必要となる設備やスペースがとることを計画する必要があります。
このように、建築物の修繕や模様替には、法的規制・建物の現状調査・必要な空間設備の計画等を行うことが重要となります。その見極めのためには、いくつかの業者に調査・見積もりを依頼し、信頼できる専門家を選ぶことが重要となってまいります。
皆様の大切な不動産の価値を守るために、こちらのコラムに記載の調査等を知って頂いた上で、専門家にご相談いただいて、納得のいく修繕・リノベーションを含む模様替を行って頂けたらと思います。
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