住宅計画の基本的な考え方【建築コラム】

住宅における建築計画について、設計時の基本的な考え方を本日はご説明いたします。

住宅計画の土台

まず、土台となる人間生活における考え方が2つございます。

①就寝分離→食事質と寝室を別に設けます。これは、小規模な住宅であっても、ぜひとも守って頂きたい条件です。

②就寝分離→両親と子供、性別の異なる子供同士(一般に学齢以上)の寝室は、分離します。成人は1人1室(夫婦は除く)という考え方です。

どちらも絶対ではありませんが、人間生活において、快適に暮らすためにぜひ検討頂ければと思います。

住宅の空間構成

次に、住宅はどのような要素で構成されているのかをご紹介します。

①家族が集う空間 食事、団らん

②家事を行う空間 調理、洗濯

③衛生的空間 浴室、洗面、便所

④個人のプライベート空間 睡眠、学習、テレワーク等

こういった空間をどのように配置していくかが設計者の腕の見せ所です。絶対的な答えはありませんが、依頼者をきちんとヒアリングして、ご家族の生活スタイルを知り、ゾーニングしていく事が大切です。また、今の生活だけでなく、将来的な変化にも気を配る必要があります。特にお子様が小さい場合などは、将来的に各室が必要となるのかどうかの検討も最初にしておく必要があります。特にご兄弟が異性の場合はよく検討をしておきます。

間取り

良く聞かれるものがLDKといったものでしょうか。これはご存知の方も多いとおもいますが、L=リビング(居間)、D=ダイニング(食事室)、K=キッチン(調理室)ということの略です。

では、LDKなどの表記について、特徴をまとめてみましょう。

①DK型 規模が小さい場合にキッチンとダイニングが同じ空間にあり、その他の部屋は別となります。調理→食事までの効率は良くなります。団らんの場は、寝室と一緒になってしまうこともありますが、寝食分離は守られます。

②L+DK型 DK型にリビングが別途設けられた形で、団らんの空間がある分、個人の空間は、個人のみで使うことが可能となります。

③LDK型 リビング、ダイニング、キッチンが一部屋となっています。一続きの空間なので、リビングの使い方で、落ち着いた団らんの確保をする工夫が必要になります。

④L+D+K型 独立しているため、それぞれの機能が充実している一方、効率面や各室が分かれることで閉鎖的に感じられることがあります。

⑤LD+K型 LDは、食事をしながら団らんする部屋といった認識になり、休息は取りづらい雰囲気になります。

簡単に分けると以上のような作りになりますが、今は③のLDK型が主流です。

空間の位置関係

住宅の空間の位置関係は、歴史上、人の生活スタイルの変化に伴い変わってきました。そして、現代の住宅形式が以下のようなものとなります。

①近代化型(都市LDK型)戸建住宅

・他室を通らずに、廊下によって各室に入室できる。洋室のリビングとダイニングがある。

・玄関から近い位置に床の間付きの和室がある。

・2階はドアで閉じられる個室が複数あり、1階の家族の集う空間とは明確に分離される。

②伝統型(続き間型)

・1階の南側に二間続きの和室があり、1つには床の間のある座敷となっている。

・1階にはダイニングキッチンと居間がある。また、お年寄りの部屋や応接室を設けられる場合もある。

・2階は1階と明確に分離されている。2階は主に子供室となる。

・外観が主に和風で、入母屋造りの屋根や大きな玄関となる。

③集合住宅型

・南側に居間と和室、中央に台所便所、浴室など水回り部分、北側に分割した個室が配置される。

・個室へは廊下をかいして入室できる。

 

これらは、現代の生活様式を取り込んだ、形となっているといえるでしょう。

これらが完全に個人個人の生活に一致しているとも限りませんし、設計者にお願いする際には、これらの基本的な考え方を頭に入れつつも、ご自身のご家族では、ここが特化していてほしいなど、考えてみてはいかがでしょうか。そうすると、ご自身やご家族が、より過ごしやすい空間が出来ていく事でしょう。設計者を選ぶ上で、その「ご家族の個性」を引き出してくれる方を選ぶことが重要となってくると思います。

もちろん、将来的に売却を検討される際には、スタンダードな空間形成を行っておくことも一つです。そのバランスをとりながら、検討してみてはいかがでしょうか。