木造の安全性能【建築コラム】

 

相続における土地活用で、賃貸戸建住宅の建設を検討されることがあります。戸建住宅は、木造とされることが多いものです。

本日は、木造について、主に基礎部分について確認すべき点を解説いたします。

 

木材の長所と短所

木材の長所と短所を簡単にまとめると以下の通りです。

長所

・比重が小さい(軽い)割に、強度が大きい

・熱伝導率が小さい(断熱性がある)

短所

・燃えやすい

・乾燥に弱く、変形しやすい

・腐朽しやすく、虫害を受けやすい

・材質が不均一である(節、割れ、傷がある)

長所を生かしつつ、短所を克服するように考える必要があります。

 

基礎

基礎とは、建築物において大変重要で、建築物の沈下、浮き上がり、転倒等、全体に大きく影響を及ぼす現象を防ぐ役割があります。

 

基礎の種類と特徴

基礎の種類は、「べた基礎」と「布基礎」の2種類あります。それらは、以下のような特徴があります。

 

①べた基礎

・立ち上がっている部分と床一面を、鉄筋を入れたコンクリートで一体化して、大きな「面」で家を支える基礎

・布基礎より荷重を分散できるので、耐震性が高い

・湿気が建物まで上がらず、シロアリ被害も防ぎやすい

・コンクリート・鉄筋量が多くなるため、布基礎よりコストが高くなる

 

②布基礎

・立上り部分にて、点で家を支える基礎

・立上り部分以外は、地面の上に防水シートを引き、その上にコンクリートを打設(厚さはべた基礎の半分以下)

・べた基礎より深くまで、地盤面に対しての、かぶり厚さがある

・コンクリートや鉄筋の使用量が少ないため、コストを抑えられる

上記のような特徴から、その地盤の強さなども考慮して、布基礎で十分であれば、コストを抑えることが可能となります。

 

防腐・防蟻

先ほどの、基礎の説明の中に、シロアリについての記載がありました。また、木材特有の問題として、腐朽もあります。

その2点に注意することで、木造建築物の安全性がより確かなものとなります。

①防腐

木材の腐朽は、木材腐朽菌が繁殖する条件を満たさないような環境を作ることで防ぐことが出来ます。

その条件は、「酸素・温度・水分・栄養源」4つとなり、どれか1つでも欠くことが出来れば、繁殖を防ぐことが出来ます。

 

(1)構造による防腐

建物の構造自体に水分の侵入を防止したり、浸透した場合にも早く乾燥させる方法をとることです。

・外壁、床などの外気が触れる部分について、内部結露を防ぐ工法をとる

・水回り部分(キッチン、浴室など)は、防水処理を行う

・必要に応じて、換気口を設ける(屋根裏、床下など)

 

(2)材料による防腐

・腐朽しやすい部分には、耐朽性のある、ひば・ひのきなどを用いる

・心材(樹木の芯部分に近い材料)と辺材(樹木の外皮に近い部分)では心材の方が腐朽しにくいので心材を用いる

 

(3)防腐剤処理法による防腐

腐朽しやすい箇所・部材に対して木材防腐剤処理を行い、その腐朽を防止する方法で、以下の点を気を付ける

・木材防腐剤の品質・性能は、JIS,JASなどににより一定の基準をクリアしたものとする

・防腐処理材であっても、仕口や継手の加工が行われた部分については、再処理をしてから建材として使う

 

②防蟻

木造の建物には、シロアリによる被害が深刻となり、建物の構造を破壊する恐れがあり、以下のような防蟻処理があります。

(1)構造による防蟻

・べた基礎のように、コンクリート等で床下に湿気が残らないよう、十分に処理をすることで、シロアリの侵入を防ぐことを行います。

 

(2)材料による防蟻

防腐と同じように、材料を以下のように選びます

・腐朽しやすい部分には、耐朽性のある、ひば・ひのきなどを用いる

・心材(樹木の芯部分に近い材料)と辺材(樹木の外皮に近い部分)では心材の方が腐朽しにくいので心材を用いる

 

(3)防蟻剤による方法

・建材への加圧注入、浸漬、吹き付け、塗布などの方法で十分に処理する。

・建物に接触している部分の土壌に対しても薬剤処理を行って防蟻する。

 

このように、木造建築物の基礎だけでも、確認すべき部分があります。

こちらのコラムを参考に、新築をされる際には、安心できる基礎構造のある建物であるかをご確認頂ければと思います。

 

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