カーボンニュートラルにおける木材加工品の優位性【建築コラム】
昨今、建築業界では、カーボンニュートラルに向けた「木材」の利用が注目されています。
カーボンニュートラルとは、自然のカーボン(炭素)の増減が無い循環や状態のことを言います。木材の使用を長い期間で見た場合に、大気中の炭素は、樹木→木材→大気との間を循環しているだけとなり、大気中の炭素の増減が無いという状態のことを指しています。
また、木材の加工は、鉄骨、鉄筋等と比べ、必要なエネルギー量が少ないため、そちらもまた、二酸化炭素排出量の削減に繋がると言われています。
本日は、木材の種類として、木材加工品について解説したいと思います。
木材加工品
木材加工品は、その種類ごとに、日本農林規格(JAS)によってその規格が定められています。
1.合板
合板とは、単板3枚以上を、繊維方向に互いに直角に接着した板のことで、繊維によって異なる板の性質を、繊維方向を変えることでバランスをとっています。
①普通合板
合板のうち、コンクリート型枠用合板、構造用合板、天然木化粧合板、特殊加工化粧合板以外のもの
②構造用合板
合板のうち、建築物の構造耐力上主要な部分に使用するもの
既定の強度試験の種類によって、1級と2級の等級があります。
また、「含水率」というものが重要となっており、日本農林規格に規定される構造用合板については、含水率が15%を超える場合には、許容応力度を低減して考える必要があります。つまり、水を多く含む場合には、強度が下がると考えます。
2.構造用集成材
構造用集成材とは、材料の耐力を必要な強度にすることを目的として、ラミナと呼ばれる挽き板を繊維方向に平行にして何層かを接着した材料です。
構造用集成材には種類がありますが、それぞれに荷重がかかるべき方向が決まっています。所要の耐力・荷重方向に合わせた構造用の使用が求められます。
集成材のメリットは、以下の通りです。
①任意の長さ・断面を作ることが出来る
②乾燥による割れなどが生じにくく、強度のバラつきが出にくい
③通常の木材よりも同じ材料であれば許容応力度が大きくなる
等があります。
つまり、自然の木材の欠点を取り除くことが出来る部材が集成材ということになります。整った形のきれいな仕上がりになるのは集成材ならではです。ただ、やはり、自然の木材にはその味があります。ですので、素材本来の良さのある通常木材と組み合わせつつ、思い描く建物に仕上げていきたいものです。
そして、初めに書かせて頂いた、カーボンニュートラルの側面も大変重要です。これから建築を予定されている方がいらっしゃいましたら、ぜひこちらのコラムを参考に、集成材による強さも含め、「長く残る木造建築物」を検討して頂ければと思います。
なお、カーボンニュートラルに関する情報は、環境省による「脱炭素ポータル」にて掲載されております。企業・個人で取り組める内容も掲載されているので、ご参考になさってみてはいかがでしょうか。
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