建物のアレルギー対策【建築コラム】
近年、春先にかけて花粉症の話がよく聞かれるようになりました。花粉症は、花粉を原因としたアレルギーの一種です。そこで、建物を設計する上でどのようにすれば、アレルギー対策が出来るのかについて本日は解説いたします。
1.建材とアレルギー
「シックハウス症候群」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。近年の建物の高気密化・高断熱化に伴い、建材および建築時に使用する接着剤などの化学物質等によって、汚染された空間で過ごすことで起きる体調不良が、シックハウス症候群です。シックハウス症候群はアレルギー症候群の一種です。また、湿度が高い空気が滞ることによって起きる、カビ・ダニの繁殖や、春先にかけての花粉症などもアレルギーの原因となります。
2.アレルギー対策
では、建物によるアレルギー対策はどのように考えれば良いでしょうか。ここでポイントとなるのが、「アレルゲン(アレルギーの原因)」が「滞る」という2つの要素です。
この2つの要素のどちらかもしくは両方を取り除くことが、アレルギー対策になるといえます。
①アレルゲンの除去
・アレルゲンを不活性化する建材の使用
近年、ダニやカビを不活性化する建材が開発されています。
・間取り・収納の工夫
屋外で使用した衣類を保管する場所を玄関先に作っておく等の設計を行う
・フィルターの設置、換気口などにフィルターを設置することで換気時の空気清浄を行う
・家具等による工夫
花粉キャッチするカーテン、花粉がつきにくい素材のソファなどを用いる
②空気の滞留の防止
24時間換気システム
時は遡りますが、平成15年の改正建築基準法の施行により義務化された24時間換気システムです。
こちらが一番分かりやすい空気の滞留の対策です。換気扇による一時的な換気よりも空気清浄を保てると言われており、①のアレルゲンの除去でも載せましたが、外気の流入する部分については、フィルターを正しく設置していることが大切です。
以上のようなアレルギー対策を行うことで、快適な居住空間を保つことが可能となります。
今後も、地球温暖化によって、植物の開花時期が長くなり、花粉症の期間が長くなることも指摘されています。そうなると、短期間では済まない対策が必要となってきます。上でご紹介した対策を取り入れ、更に必要なお手入れを行って、その建物があることによって、居住者・利用者がアレルギーから守られるという状態を目指していく必要があるのではないでしょうか。
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