省エネ基準と住宅ローン【建築コラム】

先日、日銀が金融政策決定会合にて、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正を決めたニュースがあり、また、大手銀行において、住宅ローンの固定金利の0.5%超とするといったニュースも見られました。

多くの皆様が注目しているであろう住宅ローン。そして、現在建築業界において、脱炭素社会における省エネ基準。その2つについて少し解説していきたいと思います。

省エネ基準への適合義務

2022年4月22日「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。床面積300㎡以上の非住宅建築物を対象とした省エネ基準への適合義務を、すべての新築住宅・非住宅を対象とすることとなります。

省エネ基準とは何かについては、
コラム「建築物の省エネ基準による変化【建築コラム】」および
コラム「建築物の省エネ基準の概要【建築コラム】」をご覧頂ければと思います。

そして、この省エネ基準を満たす建築物を増やす足掛かりとして、以下2つの住宅ローンに関わる制度の変更があります。
①住宅ローン減税
②全期間固定金利住宅ローン フラット35

住宅ローン減税

現在も、住宅ローン減税の制度はございますが、省エネ基準を含み、改正がいくつかあります。
一番大きな改正点が
「2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅の場合、省エネ基準を満たす住宅でない場合は、住宅ローン減税が受けられない」ということです。

省エネ基準適合住宅を増やすための措置としてではございますが、とても大きな変更ではないでしょうか。また、その他にも控除率・控除期間・借入限度額等にも変更がございます。

では、現行の住宅ローン減税 と 改正後の住宅ローン減税 どこで、適用が切り分けられるかというと「入居時期」および「建築確認申請」の日付が基準になります。

 

今回は、省エネ基準を満たさない物件に限ってご説明しますと
2023年までに入居すれば、住宅ローン3,000万円
2024年入居であっても、2023年までに建築確認申請が完了しておれば、住宅ローン2,000万円に対して控除が受けられますが、
2024年以降の建築確認申請となる物件に対しては、控除は0円となります。

このように省エネ基準というものが、今後の住宅建築において、大変重要なキーワードとなってまいります。

全期間固定金利住宅ローン フラット35

こちらも省エネ基準による大きな変化がございます。
2023年4月建築確認申請完了分から、【フラット35】S等の金利引下げメニューの適用の有無に関わらず、すべての新築住宅において、基準を満たすことが必要となります。

2023年4月以降設計検査分から次のいずれかに該当することが要件となります。

①断熱性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上
②建築物エネルギー消費性能基準(別途、結露防止措置の基準あり)

まとめ

ここまでにお話した通り、住宅建築への省エネの適用は、必須と言わざる負えない時代となって参りました。
今後住宅を建築予定の方は、「省エネ基準」が重要であることをご理解いただき、ぜひ分からない点は専門家に相談して理解した上で、税額控除・住宅ローン借り入れをご検討いただければと思います。