建築構造力学の基礎~力のモーメント【建築コラム】

ある点を中心として物体を回転させる力をの効果を「力のモーメント」といいます。

ナットを回すスパナをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか?

 

モーメントの式と単位

Mo = P × ℓ

Mo:O点に対するモーメント

P:力の大きさ

ℓ:O点からPの作用線までの垂直距離

単位は kgw・m  tf・m  N・m  力の単位に長さが合わさった表記となります。

1kgw・m=9.080665N・m となります。

時計回りにかかるモーメントを+(プラス) 、反時計回りにかかるモーメントをー(マイナス)で表記します。

図のモーメントは、時計回りの力のため、+となります。

 

偶力のモーメント

右図のような

①作用線→異なる

②大きさ→同じ

③方向→反対 の3条件を満たす、2つの力を「偶力」と言います。

偶力のモーメントが物体に作用すると、物体は回転運動を起こします。

 

物体にかかる力のつり合い

物体における力のつり合いは、

物体に対してX軸、Y軸(縦横垂直の軸)を設定し、

∑X=0 かつ ∑Y=0 かつ ∑M=0 ということになります。

物体にかかる、縦と横の力の合計、力のモーメントの合計が0になるということであり、そうなることで、物体は静止することになります。

ちなみに斜めにかかる力は、右図のような形でX軸、Y軸に分解して考えます。

分解の時には、三平方の定理により力の大きさを求めます。

このような力のつり合いを保つことが出来ている静定構造物と言います。

 

本日は、前回より構造力学に一歩近づいた「力のつり合い」についてお話させて頂きました。

今回のコラムで、建築の構造計算が、元々力のつり合いに基づいていることをイメージして頂けたでしょうか?

通常の柱や梁の間に斜めの部材(火打ち梁、筋交い)をいれることは、こういった力のつり合いの兼ね合いから考えられています。

 

一見しっかりしていそうな建物もやはりきちんと構造計算されたものでないと地震等に対応することが出来ず、倒壊する恐れがあります。

そのために新築時には信頼できる専門家に構造計算をしてもらうことが大変重要となります。

また、築年数が経っている建物を購入される際は、専門家による耐震診断も重要です。(法の改正により、建築基準法が変わっており、現在の基準を満たしていない場合があります。)

 

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