建築構造力学の基礎~力(ちから)【建築コラム】

建築構造力学とは、建物が力を受けても建っていられるように計算する考え方です。

本日は、最も基礎となる力(ちから)について、お話いたします。

力(ちから)の三要素

皆さんは、力というと、どのようなものを想像しますか?

一番目に見えて分かりやすいものは、バネでしょうか?ひっぱると伸びるバネの性質は、力が働いていることが、よくわかります。

しかし、風車のように風の力を受けて動く場合などは、目に見えない力が働いています。

このような目に見えない力が、私たちの周りにはたくさん働いています。

そこで、力学を使ってみましょう。

力学では、力を目に見えるようにする方法として、力を三つの要素に分けて考え、図示することが出来ます。

 

①作用点

その物体に力がかかり始める場所のことです。

図を描く上では、「●」印で書きます。

 

②方向

その物体にかかる力の方向です。図を描く上では、「→」で表します。

③大きさ

その物体にかかる力の大きさです。図を描く上では、「矢印の長さ」で表します。

 

力の移動性の法則

力はその方向に物体を移動させる働きがあります。

物体が変形することを考えない場合には、力を作用線上の任意の位置に移動することが出来ます。

 

力の大きさ

力の大きさは「ベクトル量」と呼ばれ、先ほどご説明したように、向きをもち、矢印で表記します。

そして、長さ・時間・温度など、向きを持たないものの大きさについては、「スカラ量」と呼ばれ、数値と単位だけがあります。

 

力の単位

重量キログラムと呼ばれ、「kgf」で表します。

1kgの質量が標準重力加速度のもので受ける重力の大きさと定義されています。

 

kgとkgfの違い

例えば、地球と月で考えます。

6kg(質量) → 地球でも月でも6kg

6kgf(重量キログラム) → 地球では6kgfだが、月の重力は地球の約1/6なので1kgfになる。

 

力の単位の変換

1kgf = 9.80665N(ニュートン) = g N(ニュートン)と表記されます。

この gは、地球の地表上において、緯度により多少変化します。

 

力の符号

力の作用点を座標原点と考えます。

図のように、上向きと右向きが「+」、

下向きと左向きが「-」となります。

 

作用・反作用の法則

物体に力が作用するとき、反対方向の力が同時に起こります。

 

例えば以下のように紐に重りを付けた場合

紐には重りに引っ張られる力が働き、重りには、紐が引っ張り返す力が働きます。

 

 

まとめ

本日は、力についてご説明いたしました。

この考え方は建物にかかる力を考える上の、一番の基礎となります。

→という記号で表す力、面白いと思いませんか? ぜひ身の回りの物の力の→を頭の中に描いてみてください。

建物にかかる力、建物が耐える力を考えることに繋がっていきます。

その他にも力には、色々な特徴がありますので、次回以降ご紹介させて頂きます。

 

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