不動産問題に関する電話相談サービスのお知らせ(コロナウイルス禍における今後の不動産市況の悪化トレンドを鑑みて)

1級建築士・宅地建物取引士・不動産コンサルタントの城和信太郎です。

コロナウイルス禍における経済市況ですが日を追うごとに厳しさを感じています。
このような環境のなか、ここ数年内に不動産を購入した方からの相談が増えています。「仕事が厳しくなり住宅ローンが返済できるか怖くなってきた」、「テナントから賃料減額交渉がきているがどうしたら良いか?」、「購入した収益不動産を景気が悪くなって大きく値下がりする前に手放したい」などの相談を頂いています。

これらの相談のなかには緊急性を有する相談もあり私たちも全力で対応させて頂いていますが、問題というものは発生してから解決させるよりも発生前に予防することで未然に防げることもあります。そこで私たちは皆さま方の力になるべく不動産問題に関する電話相談の対応を始めることと致しました。
テレワーク期間中のため、面談がなかなか難しい状況ですが、電話やスカイプ、 ZOOMなどのパソコン会議ツールを活用し皆様の所有させる不動産の問題に関して全力でサポートさせて頂ければと思っています。

尚、私たちでここ1ヶ月の情報を整理した不動産市況としては下記の通り考えています。所感としては厳しく恐縮ながら不動産価格はトレンドとして全体的に下落していくと思料しています。

新型コロナウイルス禍以前から不動産市況は厳しくなっていた

2008年のリーマンショック後の不動産市況ですが、今年開催予定だった東京オリンピックに向けて景気に過熱感が生じ、都心部を中心に不動産価格が高騰している点が取り上げられておりました。日本全体としても経済が活発な期間が続いておりました。

しかし、ここ1年の不動産市況においては昨年のスルガ銀行を始めとした金融機関の不正融資問題レオパレスをはじめとした大手住宅メーカーの不適切な建築問題等を発端として投資用不動産市況が低迷してきておりました。実需用不動産においては堅調に推移しているものの、勤めている会社の先行きや東京オリンピック後の不動産価格の下落を見越して購入を見送るケースも少しずつ見られる状況となっておりました。地方では不動産価格の下落が確認されている地域もあり、今後においては首都圏も不動産価格が下落することを念頭に置く必要が出て参りました。

新型コロナウイルス禍が与える経済への負のインパクトがある

みなさんもご存知のように新型コロナウイルスが巻き起こしている影響は計り知れない状況となってきています。イタリア、スペイン、アメリカにかぎらず日本においても2020年4月17日現在、緊急事態宣言が全国で発動されることとなりました。中小の飲食店やサービス業を中心に資金繰り等のダメージは計り知れないものとなってきております。
株式相場につきましても、新型コロナウイルス禍による経済の低迷により2020年1月に24,000円近くあった日経平均株価が一時は16,000円台に割り込み、NYダウ平均株価も3年ぶりに一時2万ドルを割り込んでいます(2020年3月18日時点)。2020年4月17日時点においては安定している面も見られるものの、今後の経済に大きな影響を及ぼしそうです。

NYダウ平均株価2017.4~2020.3

 

NYダウ平均株価2020.1~2020.3

 

日経平均株価2020.1~2020.3   ※参照:楽天証券

 

建築関係やいままで強気だったインバウンド関係も厳しい状況となった

他方、建築市況としましても、建材などの生産国である中国からの部品調達が困難な状況が続き建築設備の受注停止や納期の遅れが出ております。住宅メーカーや建築会社からも悲鳴が聞こえつつあります。建築物件の着工床面積は2年連続で減少をしており、大手ゼネコンの建築工事停止の影響もあることから新型コロナウイルスの終息が長期化することにより建築市場にも大きな影響を及ぼすと思われます。大手ハウスメーカーや建売分譲会社なども新たな分譲戸建てを建築するための土地仕入れを控える動きが出てきている状況です。

インバウンド需要が極端に減少しているホテルを中心とする宿泊施設や商業施設なども今後も需要が減少していく恐れがあります。

 

2019年の建築物着工床面積は前年比2.74%減の1億2755万m2(資料:国土交通省の資料と取材を基に日経アーキテクチュアが作成)

 

中国をはじめ海外においても不動産市況に陰りが見え始めている

尚、他国の不動産市況も厳しさを増しているようです。例えばオーストラリア各都市の住宅価格は向こう12ヶ月で最大20%下落の可能性があると予測しています。理由としては消費者信頼感の低下や失業率上昇を背景に販売件数が大きく減少するだろう、とのことです。中国でも、住宅など不動産事業からの撤退を表明する企業が相次いでいるとの記事が4月16日付日本経済新聞にありました。経済大国である中国における不動産市場の縮小は日本にも少なからず影響があるのではないでしょうか。

 

※参照 NNA

※中国企業が不動産業離れ コロナ禍でも規制やまず

 

 

テナントからの賃料減額交渉まで出てきている

もう一点注記しておきますと、不動産の借主からの賃料減額交渉のニュースが大きく取り上げられています。2020年3月31日 日本経済新聞では、「テナント賃料猶予を要請 ビル所有者に通知」という記事が出ています。新型コロナウイルス感染症拡大を受け、テナントビル所有者に対し、入居する事業者からの賃料徴収猶予を検討するよう働き掛ける考えを明らかにしたとのことです。家賃一定期間猶予の法案提出も動きも出てきています。この流れは今後、賃貸住宅にも波及する可能性があるかもしれません。

 

いままでは影響があまりなかった相続対策の土地活用・不動産売買にも影響が出てきている

このような状況から金融機関の融資も法人向けもですが、個人投資家への不動産融資への引き締めが強くなっており、現在の厳しい経済市況と相まって相続対策での土地活用や不動産投資への融資にも影響が出てきております。

よって、不動産市況は程度の問題はあるにしても価格のダウンサイドリスクは避けられないと見ています。

今後もグローバルな視点で不動産情報をリサーチし、定点観測を行いながら皆様に有益な情報を提供して参ります。最後になりますが皆さまにおかれましては健康を第一にご自愛下さいませ。