建物の構成要素の一つ~建築設備【建築コラム】

建物は構造体だけで成り立つものではなく、そこに人間が生活をしていく上で必要な設備がありながら、成り立っています。

建物を計画する段階で建築設備は十分に検討し、工事計画にもきちんと盛り込んでおく必要があります。

そこで本日は、建築物に関係する設備を紹介していきます。

 

建築設備の種類

設備と一言で表しておりますが、建物を成り立たせるための設備は多岐にわたります。

ここでは、主な設備とその役割をご紹介します。

 

①電気設備

電気というと、主に照明やコンセントを想像される方も多いと思います。実は、建物全体を考えると、電力の大きいものから小さいものまで含めると、以下のような設備があります。

・電力会社からの高圧配電路から引き込み、低圧電圧に降圧する「受変電設備」

・非常用の予備電源(法的に必要)、通常時から一般設備供給用といった種類の「発電設備」

・受変電設備で変電された電力を使用場所へ向けた「送電設備」

・監視設備(大規模な建物の場合に設けられる、全ての設備を一括管理する設備)

・照明・コンセント設備(送電設備からの配線を含む)

・通信設備(電話、インターネット、テレビ回線、インターホン、屋内放送など)

 

②空気調和設備

空気調和設備というとエアコンを思い浮かべる方が多いでしょうか。戸建住宅や集合住宅では、主に個別のエアコンのみとなりますが、オフィスビルなどになってくると様々な設備があります。空調機器、換気設備、熱源機器、そして機器をつなぐ配管やダクト、排煙用設備があります。

・中央熱源方式

熱源機器を機械室や屋上に設置し、冷水温水などの熱媒を製造し搬送する方式である。

冷房用に冷凍機で冷水、暖房用にボイラーで温水や蒸気を製造し、熱媒を空調機へ搬送する。

・個別分散方式

各ゾーンに熱源機器を設置する方式。戸建住宅・集合住宅などでは、一台の室内機器に一台の室外機だが、オフィスビルなどでは、複数台の室内機器に一台の室外機が繋がってくる。

 

③給排水衛生設備

給排水設備は、個々の建物における土地形状や水道管との関係から決まってきます。(井戸の場合もありますが、今回は水道管からの給水前提で説明します。)

給水方式

・水道直結直圧方式

水道本管の水圧によって給水する方式。

・水道直結増圧方式

水道引込管に増圧ポンプを接続して、給水する方式。

・高置水槽方式

水道本管から受水槽に貯水する。ポンプで屋上の高置水槽に揚水し、必要箇所に給水する方式

・ポンプ直送方式

水道本管から受水槽に貯水する。ポンプで給水する。

排水方式

・自然排水

・強制排水 自然排水が出来ない場合にポンプを設置し排水する。

④昇降機

エレベーター、エスカレーター、機械式駐車場などで、人や物を運ぶ機械設備です。

⑤防災設備

防火設備、消火設備(消火栓ボックス、消火器、スプリンクラー設備)、排煙設備、非常用照明、警報設備など、災害時に必要となり重要な設備です。

 

ここまで、建物に関わる主な設備をご紹介いたしました。建物を作っていく上では、これらの設備が大変重要であり、その設置場所によって、工事の段階も変わってくるため、工事の工程も設備も含めてきちんと計画されています。

建物を見る時に設備の配管をデザインとして入れる場合もあれば、隠したい場合もあります。なので、建物を設計する段階でそのイメージをきちんと持ち、組み込んでおく必要があります。そのためにも、どういった設備が必要なのかを知っておくということは、設計者だけでなく依頼者にも必要なことだと考えられます。

こちらのコラムを通して、設備も含めた建物のイメージを少し持っていただければと思います。

 

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