建物を支える地盤と耐震(前編)【建築コラム】

2024年元旦 石川県能登半島を中心に甚大な被害の発生いたしました、令和6年能登半島地震。
日本中が心を痛め、地震大国である日本において、地震に耐える建物というものが大変重要なことを改めて思い知らされたことと思います。
こちらのコラムでは、建物が自身の揺れに耐えられるための条件である「地盤」「耐震」について解説致します。

まず、前編では、地盤についてお話してまいります。

どのような地盤が良いのか

まず、地盤とは地表から100m程度の深さまでのことを指します。そして、大きく分けると「硬質地盤」と「軟弱地盤」に分けられます。分類名から分かるように、建物を建てる場合には「硬質地盤」が良いということになります。では、「硬質地盤」とは、どのような地盤を指しているのでしょうか。

硬質地盤と軟弱地盤

硬質地盤とは、砂礫(小石など)や岩盤を多く含む固く締まった地盤を指します。地震の揺れや豪雨等で崩れにくく、建物を建てるのに良い条件の地盤です。

軟弱地盤とは、緩い砂や粘土などで構成され、池や川などを埋め立てて造成された土地が多い地盤です。軟弱地盤は、名前の通り弱い地盤となりますので、建物を建てる前に、地盤を改良する工事が必要となります。もし地盤改良を行わなかった場合、地震などの揺れにより、地中に残った水分により、土地が液体のようになる液状化現象などが起こり、建物は、支えを失って倒壊する恐れがあります。

その分、費用面も割高となるため、購入前に土地の地盤調査をしておくことは大変重要な事項であります。

地盤調査

その土地が硬質地盤・軟弱地盤かについてを調べるには、実際の土地の地盤調査が必要です。建物の安全性に繋がる以下の3点を主に調べます。

①地盤の強度
②地盤による建物の支持力
③地層や土質の違いによる、変形や揺れやすさ

その方法は1種類ではありません。

戸建住宅を建設する際に多く用いられるのは、「スウェーデン式サウンディング試験」
大規模建築物となってくると「ボーリング標準貫入試験」が主に行われます。

その他にも5種類ほどの調査方法があり、建物の規模、用途、地域の土壌特性、そして予算にあった方法で最適な調査を行う必要があります。

地盤改良工事

地盤調査の結果、
軟弱地盤があまり深くない範囲(GLから2m以内)の場合に選ばれるのが、「表層改良工法」という工法で、その土地の土とセメント系固化剤を混ぜて固めます。費用は、1~3万円/坪 となっております。

軟弱地盤がやや深いところ少し深い(GLより2~8m)場合に選ばれるのが、「柱状改良工法」という工法で、円柱状に地盤を固めた杭によって建物を支えます。地盤を掘る際、円柱状の杭に水を混ぜたセメントを注入して土と混ぜ合わせて固い柱とさせ、建物を支えます。費用は、3~5万円/坪と、表層改良工法より高額になります。

このように、地盤改良工事には費用が大きくかかる場合があることから、土地購入前の地盤調査の重要性がお分かりになると思います。

土地の選び方

その土地が、硬質地盤なのか軟弱地盤なのかを、最初に判断する方法が、「過去の土地利用状況」を調べることです。
川、沼、池、田などであった場合には、地盤調査を行う必要があると言えるでしょう。

まとめ

土地を選ぶ際、地域の利便性を重視してしまいがちではございますが、こちらのコラムを通して、居住者の安全を確保するためにも「地盤」にもしっかりと目を向けて選定して頂ければ幸いです。

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